
ベトナムをホーチミンからハノイまで北上する。
ひたすらバスに揺られて。
旅するのは、言わずと知れた「深夜特急の作者」沢木耕太郎。
無数の若者を旅へと誘った「深夜特急」と比べ、50代の沢木が
描くこのベトナム道中記はエネルギッシュさに欠ける。
20代の頃の「迷い」がなく、家庭や地位や経済力を持った男の落ち着きが
作品の全体から感じられた。
「深夜特急」の沢木耕太郎は僕と同じように、自分が何者か、または
何者になるのか、捜し求めていた。
しかし相変わらずの無計画さと好奇心の強さで数々のハプニングや出会いを招くところは健在。
躍動感あふれる文体に惹かれ、一気に読んでしまった。
「旅」のことを久しぶりに考えた。日々の忙しさに、ついつい忘れていた。
旅してどうなるのか、何かが変わるのか、旅のあと、どうなるのか。
そんなこと、旅してから考えよう。そう思えた。